おもしれー。

最近の本のヒット率がかなりあがった気がしている。
まあ面白いと思った本意外買わなきゃあがるんだけど。

この本は「まちづくり」に関して、
これでもかというほど事例をあげているけど、
事例集ではなく、きちっと考え方を提示して、
それの事例を挙げている。
それってありそうだけど、こういう本はなかなかないっす。

最初に「できることからはじめる」とあり、
そこでは、できることしかやらないのと、できることからやるという
違いを述べている。最初にこのようなことが書かれている時点で、
事例集っぽくないのが伺える。言い方よくないけど。
まあ、それはいいとして、できることをやるにも色々な見方がある。
ある人はそれがどうしたというし、ある人はその人のレベルで
最高のものと思うし、ある人はそもそもできないと思ったり。
でも、自分が出来ることって自分しか分からないので、
人に言われてやるのもありだけど。

いくつかー。
・レヴィ=ストロースの器用人
ブルコルールという器用人。これは要するにあるもので
間に合わせるというと悪いイメージだが、職人に対する言葉として
使われているよう。まちづくりは、器用人ということ。
つまり、まちの資源を使いそこでつくる。
決して、これ、それ、あれで何か決まったものを作り上げるわけじゃない。
なんとも、クリエイティブなこと。

・翻案する
トム=ソーヤの冒険のペンキ塗りの話はここでも書いてるけど、
それがビンゴ。それを「翻案」というさらにパワフルな言葉で定義。
要するに、マイナスなものでもプラスにとらえるとか、
再定義に近いけど、そういう見方ができる、ジャンルを越えるとか。
こういうの好きというか、これがないと色々できないともいえる。
良い気づき。翻案苦手な人は多そうで、ある現象Aはそこでしか
いえないと思い込む人は多い。思い込むとは、それを考えないって意味で、
似ているかもーってアプローチでいけば、他の、まわりの、外の、
ことも見えてくる。井の中の蛙で大海を知るにはまずは外へ出てみること。

・砂浜美術館
逆転の発想。美術館というハコがない。いきてー。
こういう企画が出てくるところにクリエイティブがある。
逆にこういうことが出ないところで、うろうろやってても、
かなり次のアクションが遅いのかもしれない。

・小さいことをたくさん仕掛ける
リスクでかいものをどかんとやる人はほとんど知らないけど、
いくつか仕掛けていってうまくいくものを継続する。
そういう考えはあるのだけど、それの良い補強となった。

この本は、考え方の提示という意味で、
「まちづくり」という文脈だけで読むのは非常に勿体ない。
著者らは建築に携わる人だが、その視野は「まちづくり」に
留まっていない・・・。考え方というところへ昇華させ、
きちんとまとまっている。

これは、ぜひオススメ。
アイディアとかの考え方としても使える一冊かと。

「まちづくり」のアイデアボックス「まちづくり」のアイデアボックス
橋本 憲一郎

彰国社 2008-12
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