ふむ・・・大分お薦めされてから時が・・・。
が、読んだよ(笑)

僕はミステリは10年に一回程度しか読まないのだが、
これは・・・面白い。
ぐんぐん読める感じは本の面白さの1つだ。

推理とか、ミステリアスな感じは、ふーんという程度の興味しかなく、
細かい点というか、そういうところが気になる。
メール本文でウィルスが実行されないとかみたいな記述とか、
そういうのはどうでもいい。

まず、1つ目。
犯人の動機は良く分からない。人を殺すのに動機はいるかどうかって
議論も出来そうだし、ちなみに、金融危機で、景気が悪くなって、
失業もしくは、格差が出てくると、犯罪率の上昇と
割り切っていえるし言われるけど、そういう局面で、
動機は「むしゃくしゃした」でも「なんとなく」でも、
あまり意味はない気がする。

で、それはいいとして、犯人も、主人公の犀川も、
プログラミング=教育されたみたいな話をしているが、
そこに「社会的影響」みたいなものも、込みでいっているのか、
単純に親の教育とくに、義務教育期間・・・のことをいっているのかは
気になっている。

2つ目。
犀川は仮想世界で、つまりコンピュータシミュレートで、
人が握手できるような、触覚の話をしている。それはもうじき出来ると。
だから、人には興味はないし、自分の意見を理解してもらうよりも、
自分の意見を言う、相手の意見を言うところで止まっている。
その点は、孤島やら、研究員が個室で人の物理的接触を避けて、
というところに何かしらの共感を抱いている点で裏づけされるが、
だが、そこは僕には認めることはできない。

人を嫌うも、なんでこんなやつが、ということも、
何か憂鬱なことも、そして、面白い話や人、感動とか、
ありがたいこと・・・で、人生は構成される。
物理的なコミュニケーションが人間だと。
決して、プログラムのバグではない。ここ、著者の大きな意図は
ないはずだが、この意見のベクトルはこの本の世界へである。

人生の醍醐味は・・・
前へ歩く人がいたら、どこまでいくんだい?といってくれる人がいたり、
俺も一緒に行こうか、道は分かるか?何やってんだ?というような、
関わりがあるからこそ、面白いんじゃないかと思っている。

個人的には、哲学とプログラミングは相性が良いと思ったり。
というか、プログラミングしたくなった・・・やべえ。

ミステリ好きとか問わず、お薦めですな。



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