近くにいた。
それも自分より近い距離にいた。
心の中にバリアをはっても、
言心者にとっては効果はない。

ベッドから起きる起きないを繰り返していたら、
あっという間に言葉の世界へ。
ここは夢か夢か。
言葉の世界は夢か。夢は言葉の世界か。

確実であるという一歩を踏み込む。
左足が上がり、やや前を踏み込む瞬間・・・。
言心者が現れた。

言心者にとっては
全てが言葉だ。

私は大きな声で、相手を確認するような言葉を吐いた。
しかし、それは効力がなかったかのように、
または聞こえなかったかのように。
言心者と相手は名乗った。
言心者とは何かと聞く言葉を私は吐いた。
しかし、それは認められなかった。

この世界では、言葉が相手より強力であることを
担保にして、世界が成り立つ。
私の世界では、言葉に対してそのようなものがなかった。
言葉が強いとは何なのだ。

言心者が近づいてくる。
無効。

存在が無効。

言心者は言ってないが、そう言っているように近づいてくる。

もう一度言葉を私は吐く。
私はここにいて、お前は何者だというような言葉を言葉にする。

言心者はニッコリ微笑み、
こういった。

ようこそ、言葉の世界へ。