歩き続けることで、休む必要はない。
いや、休んではダメなのではなく、休む必要がないというだけだ。

深呼吸をして、目をつぶり、呼吸を深く行うことで、
冷静に今が分かってくる。

真っ暗な夜で、前も後ろもほとんど見えない、山。そして冬。
そばに誰かいるのか。もしかして遭難なのか。

それとも。
海。暑い。人が一杯いるようにみえるけど、ここにいるのは
自分だけ。日本じゃない?のか。

それとも。
苦しい。自分には辛い。一体この作業がいつまで続くんだろう。
休みたい・・・。のか。

それとも。
気付いたら、今まで歩いてきた軌跡がものすごくあった。
この長い軌跡は自分しか分からない。絶対に分からない。
それがはっきりとみえる、のか。


読み手の状況を冷静に俯瞰し、まるでいつか自分が「なってしまった」
のを思い出させるというより、思い浮かべてしまう。

詩というより、文章に近いイメージ。
平易に書かれているのは、イメージを思い浮かべるには
非常に適すか。

僕に必要なのは、深呼吸ではないきっとないだろう。
おそらく、深呼吸をする必要があるってことを、
教えてくれるこの詩なんだろうなと。



深呼吸の必要深呼吸の必要
長田 弘

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