著者がこだわるだけあって、装丁がお綺麗でございます。
内容はどうか・・・というと、なかなか良かったです。

著者は、大きく4つにわけて色々いってます。
パラテクストという前情報の話。これは買う前になんで読む内容が
分かるかみたいな話で、これ異様に哲学風だなーと何か感じました。
案の定、かなり哲学風な読書術だなということです。
誤解ないようにいうと、哲学だから読みにくいということはないです。

次に過去形の読書です。
これは、デジャビューとは違うかもしれませんが、
既に知っている感、見た感がある、パタンにあてはまるもの、
読み方みたいなことです。
ちなみに僕はパタンに当てはめて読むことはほとんどなくて、
この見方、読み方というのは、ある種のプロ・・・というか、
著者が文学研究のプロの証明だといっていいような気すらします。
要は、著者は評論の話のところで「普通のつもり」みたいな話を
していますが、パタン読みについては、どこまで「普通」にたてたかは
やや疑問というところです。

で、過去があれば未来がある。というか、タイトルなんで。
未来形の読書です。
これ正直まとめられないのですが、これが未来系の読書だーとは
著者はいってない気がします。読み落としかもしれません。
軽くチューハイ(笑)飲みながら読んでたので。え、著者に失礼だって?
理解できたのは、
未来系の読書術とは、神視点の読者の視点、物語の人物の視点など
色々な視点があると思いますけど、見方を変えると、
当たり前だけど、一意の理解はありえないというところとか、
「読書への抵抗」というところの話とか、
小説は色々な省略という穴があって、読者のレベルによって
色々変わっちゃうとかで、
正直なところ、未来形の読書がこれだというのが分からず。

で、タイトル付けから言ってしまえば、
一番惹かれるタイトルだった・・と思われます。
4部のうち、一番面白いが、難しい感じあり。

最後は評論の話です。これはばっさり省略しておきます。

で、印象に残ったのは、
著者の仕事柄、というか著者の本もそういう系統が多いみたいですが、
文学研究というところで、この本にも漱石の「こころ」「三四郎」などが
事例として出てきます。
ブンガクを研究って視点は僕には全くかけていて、
例えば時代背景とか、時代の雰囲気とかも考慮すると
全然読みが違うというのがあります。確か。

そういう視点は面白いところです。
ただ僕の見方は、参考にすべきところは取り入れるみたいな
考えなので、未来形の読書術=哲学、メタ認知、教養の蓄積みたいな
点で、カバーできるという意味で「新鮮さ」はあまりなかったというところです。

哲学的だというのは、参考文献は結構その手の本があがってます。
好きで読んだ本が色々あったので、思わず懐かしい感じが。
という意味で著者と嗜好が似ているかもしれません(笑)

あと、メタ認知という点では、
読んでいる自分が読んでいる自分が・・・みたいな話も出てくるんですが、
これですね。ちらっと自分探しを読書でするなら、
1階層じゃ甘いぜ旦那、みたいなことも書かれています。
確かに、表と裏くらいでは深みがないですからねえ。
裏の裏の裏くらいは思考レベルでは欲しいくらいです。

ないものから何かを創るというのは全く違う話でもなく、
こういう視点もいるなあとか思ったりします。メタ認知のことですが。

あと、教養の蓄積。
これは知識量という点と、もう1つどっかにかかれたんですが、
忘れました(おぃ

とりあえず、オススメです。
ビジネスノウハウ系とは違う雰囲気ですね。
でも、やっぱ装丁綺麗ですね。オブジェとしてもいけそうです。


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