Amazonレビューが熱い。批判と賞賛の戦いだ。

高遠さん自身の講演会に一度だけ足を運んだことがある。
非常に熱い人という印象を受けた。

Amazonレビューのとくに批判レビューなどを頭に入れつつ、読む。
ページ数は400近くあるので、気合いを入れて読むべし。

さて、感想を。この本の「それでもイラク人を嫌いになれない」とは、
誤解を生みやすいタイトルだと思った。
それは、国民に迷惑をかけた…というところで、謝罪していないとかそういうところで
つながってしまうから。

つまり、「そんな嫌いになれないとかいってんじゃない。まず謝れ」と。
そういうことだ。

残念ながら、TVちゃんのやりかたにより、あらゆる部分はカットされる。
謝ってもカットされる。よくある話。だからTVばかり見るのは良くないと思う。
もちろんTVは良いメディアだとは思う。そこらへんは適宜判断。

本の中で、何度も謝りたいとか、PTSDの症状だとか。相当やばいことになっている。
こういう人が、生半可な気持ちでイラク入りするはずがない。

氏は「自己責任」という言葉は、「死んでも文句は言わない」という意味で捉えている。
しかし、世論としては、微妙に違っていて、「責任を周りの人からみて取ったかどうか」という
訳の分からない視点になっている。

つまり、他人の目を意識した責任論に終始している。
そりゃ、奥さん。他人の立場とかは大事だけど、他人の目を意識した責任って。
責任って、自分と結果の間だけで成立するもんではないんすかね。

第三者や別の結果などと関係するのはわかるけど。
そこは主ではない。あくまで従で、ありサブ的なもんさ・・


マザーテレサの言葉も何度も出てくる。
本にしたのは、普通に考えれば、氏がイラクの現状などを、あの時何が起きていたかを
知らせたかっただけであろう。
それ以上の政治的な意図だとかは、非常にナンセンスに思える。
なんでだろうかな。

例えばこうだ。氏はTVの前でニュース見ているよりも、現地に行くしかないというような
気持ちになっている。レビューアーには逆の人もいるけど、それはそれでいいんじゃない?
とすら思える。考えの違いだろう。

イラク以外の土地というのもあるとか、そういう意見もあるが、
氏にとっては意味がない。イラクになぜ惹かれるかは僕はそんなに分からないが、
好きに理屈は要らないとすら思う。

果して氏は本当に適当に突っ込んで適当に捕まって、適当に世間を騒がせたのか。
違うだろう。まず氏は何度も行っている。
その援助の仕方云々は、非常に難しい。短期的なのか長期的なのか。
僕には難し過ぎるところだ。

ただ一つだけ言えることはある。
それはこの本からも、レビューアーの意見からもだけども、
それは一部でしかすぎないということだ。

批判的に言えばこうなるだろう。
氏は援助をしているが、それは結果として結びついているか。
自己満足ではないのかとか。

でも、それは非常に批判として簡単だ。誰でも吐ける。
それを踏まえた上で、覚悟を持って援助しに行こうとしている人に、
多くの人は何も言えないのではないかと思う。

それが僕の率直な感想なりけり。


4062125412戦争と平和 それでもイラク人を嫌いになれない
高遠 菜穂子

講談社 2004-08-10
売り上げランキング : 38,305

Amazonで詳しく見る
by G-Tools